ポンパドゥール公爵夫人(1721~64)
ポンパドゥール公爵夫人(1721~64) モーリス・カンタン・ド・ラ・トゥール画 (パリ・ルーブル美術館蔵) 「飲んだあとで美貌を保てるお酒は、シャンパーニュのワインだけよ」 今もその美貌と繊細な感覚で名を残すポンパドゥール伯爵夫人は、ルイ15世の寵姫。 パリの資産家の家に生まれ、20歳で裁判官に嫁いで社交界で名を馳せた。 24歳のときに仮面舞踏会でルイ15世に見初められ、1ヵ月後には爵位を授かっている。 宮廷内にはいろいろな決まりがあった。 ルイ14世の時代には、ワインはシャンパーニュさんの赤で、泡の立たないものに限られていた。 宮廷語というものがあって、 「シャンパン酒を飲む」とは言わずに 「シャンパーニュ地方の葡萄酒を飲む」と言わなければならなかったそうだ。 一方、ルイ15世の前王だった曽祖父の「太陽王」ルイ14世と異なり、 礼節や伝統にそれほどうるさくなかった。 だから、朝夕の儀式にもあまりこだわらず、 それまで宮殿にはなかった特別室を設け、寵姫やお気に入りの貴族、貴婦人のみを招いたりしている。 この特別室こそ、いわゆるレストランの始まりだった。 小心者でやたらと神経質なルイ15世は、安らぎを得るために、 ポンパドゥール夫人の小御所で杯を傾け、憩うことを好んだという。 その酒も、泡なしの赤ワインの決まりを捨て、シャンパンを飲んでいたことは言うまでもないだろう。 ポンパドゥール夫人が 「飲んだあとで美貌を保てるお酒は、シャンパーニュのワインだけよ」 と賞賛したワインこそ、今なお人々に愛されるシャンパンなのである。 ジャンル別一覧
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